PLCデバイス


今回は変り種のネットワーク機器であるPLCの紹介です。PLCとは「Power Line Communication」の略でLANケーブルを使った有線LANの代わりに電源コンセントの内部配線を通信ケーブルとして使ってしまおうという規格です。普通の家庭には各部屋に必ず電源コンセントがあると思いますが、これは当然壁面の中は銅線で繋がっています。これに着目してこの銅線を通信に流用した物です。

現在有線LANに代わるソリューションとして無線LANが流行していますが、やはり電波が届きにくかったりするケースもあり、以外と求める人が多いのではないでしょうか。Yahooオークションでもそれなりの金額になっていますし、安く出品された物は入札者が多くいたりします。この発想自体は良いのですが意外と電源コンセントの中に流れる電流というのは品質が良く無いので高速転送にならないと聞きます。

今回紹介するのは中国TP-Link社の「TL-WPA271 Kit」という製品です。PLCによる通信は当然最低2台は無いと通信できないので二台セットで販売されているケースが多いのですが、今回もそういったセット製品です。良く見ると2個の内、1個が若干大きくなっています。実はこのTL-WPA271 Kitの1個は単純なPLC製品ですが、もう1個は無線LAN機能付きのPLCです。純粋なPLCはTL-PA221、Wi-Fi対応のPLCはTL-WPA271というモデルです。

日本では中々Wi-Fi対応のPLCは見かけませんが、海外ではそれなりに人気があるのでしょう。上がその製品です。たしかに住環境によっては欲しくなる製品かも知れません。この製品が対応するPLC規格は「HomePlug AV」という規格ですが、海外では割と普及している規格です。

無線LANでは「Wi-Fi」と呼ばれる組織が音頭をとって、無線LANの規格を普及させましたが、PLCでは大きな組織が存在せず、現在は3系統ほどのPLC規格が乱立しています。一つは今述べた「HomePlugAV」、もう一つは「HD-PLC」、さらに「UPA」という規格があります。特に「HD-PLC」はPanasonicが考えた規格なので日本では一番普及しています。ですが海外ベンダを見ると「HomePlugAV」が一番普及している感じがします。これはintel社が推奨しているからでしょう。PC業界ではHomePlugAV、家電業界ではHD-PLCが優勢なようです。

そしてTL-WPA271側のWi-Fi機能ですが、802.11nの2.4Ghz帯を使った150Mbpsが扱えます。機能的にはPLC+アクセスポイントという感じでしょうか。有線LAN部は100Mbps、Wi-Fi部は150Mbps、PLC部は200Mbpsという転送速度でバラバラです。そんな所が中国製らしいでしょうか。

まずはPLCでの接続を試してみましょう。PLCはTL-PA211とTL-WPA271を電源コンセントに挿してそれぞれをLANケーブルでルータとPCに接続します。なるべく別の部屋のコンセントが良いでしょう。今回はTL-PA211をルータ側、TL-WPA271をPCに接続します。これでPCから外部インターネット接続ができればPLCによる接続が出来た事が確認できます。

通常ならPCを使わず各々の本体にある「ペアボタン」を押して相互認証させるのですが、やはりPCを使った作業で試して見たいと思い、製品に添付しているユーティリティを使いました。私としてもPLCは初めての機器でもあり興味津々でユーティリティを起動させます。下が今回のテストした時の構成です。

こんな感じで接続します。

TL-WPA271の設定はPLC経由で無いとユーティリティが上手く動作しないようなので、先にTL-PA211を設定します。下がその設定画面です。この画面はTL-PA211の電源を入れていない状態で設定用PCからユーティリティを起動した時の内容です。ユーティリティ上の設定ウィンドウ上には何も表示されません。Diagnosticsタブでも有線LAN上に「No HomePlug Device Connected」とPLCデバイスが無いと警告メッセージが出ています。

次にTL-PA211の電源を入れて再度実施します。すると今度はTL-PA211が見つかります。この時は設定用PCから有線LANを通してPLCを認識しています。MACアドレスもTL-PA211背面に記載されている物と一緒です。そして今度はPrivacyタブにのPrivate Network Nameに「Unknown Network name」と表示されました。これは無線LANにおけるSSIDのようなIDに該当します。このNetwork名が一致したPLC機器間でしか通信しません。これで幾つかのグループを作る事ができる訳です。初めて使うのでこんなデフォルト名が設定されているのでしょう。

この時点ではTL-WPA271には電源を入れていないのでPLCを通じてのTL-WPA271は認識できていません。次にTL-WPA271の電源を入れます。すると今度はDevice 2としてTL-WPA271が検索されました。MACアドレスを見るとTL-WPA271のPLC側のMACアドレスです。このユーティリティではTL-WPA271の無線LAN箇所は設定できないので別途TL-WPA271用のユーティリティを使います。

それでも95Mbpsの転送速度は出るというので何とかなりそうですが。

しかしこの時点でPLC間同士の通信の品質は40.60%と出ています。HomePlugAVは200Mbpsの速度が出る規格なので半分程度の95Mbpsです。この数値だけ見ると良いとは言えませんが、我が家の有線LANが100Mbpsですから妥当なのかも知れません。それに無線LANは150Mbps/300Mbpsの規格を持っておきながら、さらに低い実効転送速度ですから、優秀な速度とも言えるでしょう。この状態で確認用有線PCからは設定用PCアクセスやインターネット接続が可能となっています。手動でペア設定はしていませんが両者とも初めからNetwork名が「Unknown Network name」だったみたいで自動的に接続できたようです。

次はTL-WPA271の設定です。今度はTL-WPA271用ユーティティを使うのですが、このユーティリティは単にスキャンするだけのようでTL-WPA271を検索して接続するとTL-WPA271内臓のhttpサーバ経由でWeb接続だけします。最初はどんなIPアドレスが割り振られているかわからないので一回だけでも実施する必要があります。

TL-WPA271ユーティリティ起動。PLCデバイスを自動検索して表示します。

上がそのスキャンした内容ですがIPアドレスは192.168.0.95になっています。このアドレスはLAN内のDHCPサーバから割り振られたアドレスでは無いので、きっとTL-PA211からPLC経由でネットワークアドレスを学習した物が使われているのでしょう。ここでConnectボタンをクリックするとTL-WPA271に接続します。

ここからは良くあるWeb画面経由になります。IPアドレスも自宅LANからアクセスできるアドレスなので簡単です。最初にステータス画面を見てみましょう。

左側ペイン項目を選択すると設定が行えます。

MACアドレスは2つあります。一つはPLC側、もう一つはLAN側です。PLC側では先ほど出てきたNetwork Nameが「Unknown Network Name」になっています。設定されていないとは言え「Unknown Network Name」はデフォルトで全てのPLCと接続できるようになっているのでしょう。これ以外は一般的なAPと同じく暗号化などの設定があります。またこの他にWPSの設定も出来ます。私は使った事がありませんが、結構WPSは色んなベンダで実装されているので比較的利用されている仕組みなのでしょう。

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