前回はWLNUP04Nのネットワーク設定を完了してUSB共有センターを使ったPCでの接続まででした。今回はCanon製のプリンタであるiP4830を実際に使ってみましょう。まずは下の設定を見てください。デバイスサーバに接続されているUSB機器が認識されている画面です。このポート設定という項目を見ると「1-1.2 ip4800 series」という名前でプリンタが認識されていますが、選択肢としてUSB共有デバイスとプリンタといった二つが存在しています。しかし上のUSBメモリである「1-1.1 RunDisk」ではプリンタ選択肢がグレーアウトされています。つまりきちんとiP4830はプリンタとして認識されている訳ですね。

プリンタだけ二種類の設定が可能です。

USB機器の内部ROMにはUSBのClassというのが焼かれており、これをホスト側(PC)が読み出す事で、接続されたUSB機器の種類を知ります。これによっておかしな命令をPC側が出さないように考えられています。それにしてもなぜプリンタだけがこの選択肢に二つが選べるのでしょうか?これは前回説明した通り、デバイスサーバがプリンタサーバの派生系である事の証明です。

元々プリンタサーバはPCとのやり取りでは主に「lpr」と呼ばれるプロトコルで行われます。Windowsでプリンタサーバを使う時には大抵は「Standard TCP/IP Port」と呼ばれるポートを作成して印刷するのはご存知だと思いますが、その「Standard TCP/IP Port」とはlprを使ってやり取りできる機能です。そのlprを使って印刷する場合にはこの設定画面で「プリンタ」を指定する必要があります。

この「プリンタ」指定を選択するとデバイスサーバは従来のプリンタサーバと同じ動きをするようになり、わざわざUSB共有センターでプリンタを接続する手順が不要になります。というかプリンタ占有の為の接続ができなくなります。元々プリンタサーバは多くのクライアントからの要求を引き受ける仕様なので印刷クライアント毎の占有というのが不要なのです。

但しこの「プリンタ」を選択したlpr方式でプリンタ印刷すると、複合型プリンタではスキャナ機能が使えなくなりますから、スキャン機能を使う場合は「USB共有デバイス」側を選択せざるを得なくなります。

下がその2種類の方式で接続した場合のプリンタポートの設定です。左が「USB共有デバイス」方式、右が「プリンタ」方式です。「プリンタ」方式では「Standard TCP/IP Port」が接続ポートになっていますが、「USB共有デバイス」方式では「Virtual Printer Port for USB」と呼ばれるポートになっています。Virtual Printer Port for USBというのはデバイスサーバが提供する仮想的なUSBポートです。ドライバから見ると単純にUSBポートを使って印刷データやスキャンデータを通信していると思っているので、従来のUSB接続用ドライバを使ってリモートに印刷・スキャンができるのです。

設定で面倒がないのは当然USB接続方式です。もしドライバを入れていない状態でUSB共有センターで接続を選択すると自動的に「プリンタが見つかった」とPlug and Playに準拠して動きはじめます。後は単純にドライバを導入するだけです。しかしプリンタサーバ方式では手動でStandard TCP/IP Portを作成しなくてはなりません。

なおStandard TCP/IP Portでlprによる印刷をする場合には、キュー名が必要です。このキュー名もデバイスサーバのステータスを見る事で確認できます。「RAW:9101 IPP:USB2_LQ LPR:USB2_LQ」と表示されているのが判りますが、ここに出ている名前がキュー名です。

ちなみにStandard TCP/IP Portではlpr以外に「RAW」と「IPP」と呼ばれる印刷方式も選択できます。その際にはここで表示されているポート番号かURLを指定する事で印刷が可能となります。「RAW」方式なら上記の標準 TCP/IPポートモニタの構成でRawを選択しポート番号に9101を設定しますし、IPPならURLとして「http://ipアドレス/ipp/USB2_LQ」といった指定をします。

このようにデバイスサーバはプリンタサーバの機能を含んでおり、主にUSB接続の複合型プリンタをターゲットにした製品と言えます。しかし最近の複合型プリンタは有線/無線LAN機能を標準搭載する製品が増えてきたのでデバイスサーバを使わなくてもネットワーク印刷・スキャンができるようになっています。そういう意味では新たに出回ったデバイスサーバカテゴリは余り振るわないのかも知れません。

ならばデバイスサーバの優位性はプリンタ以外のUSB機器を使った時に発揮されるべきでしょう。しかし一般的なUSBメモリやUSB接続HDDでは既にファイルサーバやNASといったジャンルが確立されているので余り意味がありません。そうなると少し変わったUSB機器であるMIDI機器やWebカメラ、TVチューナ、スピーカといった物がターゲットとなるはずです。

しかし残念な事にこのCorega社製はUSB機器でもアイソクロナス転送という転送をサポートしていません。このアイソクロナス転送とはUSBスピーカやWebカメラ等が扱う転送でリアルタイムに配送するような高速な物です。さすがにここまで要求するのは厳しいという事なのでしょう。実際にアイソクロナス転送を必要とするワンセグチューナを挿してみましたが、上手く認識できませんでした。

アイソクロナス転送をサポートする製品も存在しますが、さすがに製品は少ないようです。デバイスサーバは今後の新たなソリューション展開に期待したい所です。

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